今現在、世界中で何十億人もの人々が携帯電話デバイス(以下、スマホ)を使用しています。
日本でも、通勤・通学の電車の中の光景はこんな感じではないでしょうか。
なんたって、調べもの、勉強、ゲーム、音楽、スマホで何でもできちゃいます。
スマホ無しの生活なんて考えられない、といっても過言ではないかもしれません。
MMD研究所が発表したスマートフォンを所有する15歳から59歳の男女2,578人を対象に実施した、2020年版:スマートフォン利用者実態調査の結果によると、一日のスマートフォンの利用時間は「2時間以上3時間未満」が19.2%、「3時間以上4時間未満」が16.6%だったそうです。
約40%もの人が一日に2時間以上スマホを利用しているということになります。
その2時間、どんな姿勢でスマホを利用しているか意識したことはありますか。
スマホを利用した後、やたらと首や肩が凝ったという経験はありませんか。
今回は、スマホ利用時の姿勢によって頚肩にどれくらいの負荷がかかっているのか、具体的に数値化した論文がありましたのでご紹介いたします。
頭の姿勢と位置によって引き起こされる頸椎のストレスの評価
というタイトルです。
以下その内容を纏めてみました👇
ABSTRACT(要旨)
この研究は、頭を前に傾けて姿勢を悪くしていったときの、頚椎の負担を評価する、という目的で行われています。
MATERIALS AND METHODS(材料および方法)
・Cosmosworksという評価ツールが使用されました。
・力をニュートンで抽出した後、ポンドに変換されました。
・頭頚部の平均重量は60ニュートン(6kgまたは13.2ポンド)でした。
・重心の位置は第7頚椎の16cm上または頭蓋骨の上部から15cmの位置でした。
RESULTS(結果)
・頭頚部をさまざまな角度で前方に傾けると、頚椎に見られる負荷量が劇的に増加します。
・大人の頭の重さは中立位で10から12ポンド(4.5㎏~5.5㎏)です。
・頭が前方に15度傾くと27ポンド(約12㎏)、30度で40ポンド(約18㎏)、45度で49ポンド(約22㎏)、60度で60ポンド(約27㎏)と首への負荷量は急上昇していきます。
DISCUSSION(考察)
・良い姿勢とは、耳と肩が同じライン上に合い肩甲骨が引き合わさった状態とです。
・適切なアライメント(骨の配列)では、脊椎のストレスは軽減されます。
・ハイパワーポーズを取るとテストステロンの上昇、セロトニンの増加、コルチゾールの減少、リスクテイクへの耐性の増加が起こり、逆にローパワーポーズはそれとは反対のパターンを取ることが示唆されています。
*図はネットより拝借
・悪い姿勢というのは肩背部が丸く、頭が前傾し前に垂れ下がっている状態です。
・頚椎の自然な弯曲が失われると、頚椎周囲のストレスが徐々に増加し、早期の摩耗、裂傷、変性、場合によっては手術につながる可能性もあります。
・現代人は、スマホでの読書やメールなどの作業に頭を前傾させ、1日平均2〜4時間を費やしており、頚椎への過剰なストレスは年間700〜1400時間頚椎にもなります。
・これらの問題を引き起こす原因であるスマホ、それ自体を使用しないということはほぼ不可能なので、個人個人の意識で背骨を中間位に保持してスマホを利用すること、毎日の使用時間を極力少なくする努力が必要です。
・頚椎外科医は、関節形成術や前方椎間板切除術および固定術を行う際のアライメント調整時に、関節にかかるストレスに注意を払う必要があり、 人工椎間板全置換術などの脊椎外科技術の進歩に伴い、最終的な頚のアライメントに注意を払うことが重要。
・再構成されたセグメントの不整合は、隣接するセグメントの破壊に繋がる可能性が高くなります。
CONCLUSION(結語)
・頭をさまざまな角度で前方に傾けると、脊椎に見られる負荷は激増します。
・頚椎の自然な弯曲が失われると、頚椎周囲のストレスが増加します。
・これらのストレスは、早期の摩耗、裂傷、変性、手術に繋がる可能性があります。
・問題解決策として、原因となるスマホを使わないということはほぼ不可能ですが、個人個人の意識で背骨を中間位に保持しスマホを利用すること、毎日何時間もスマホの使用に費やさないように努力することが必要です。
はい。
まず頭の重さ、約5㎏!!
背骨の上にこんなのが乗っかってます。
買い物に行って、カゴにこれが入った瞬間の重たさを想像してもらうとわかると思いますが、重いです。ちょっとした筋トレぐらいに重いです。
ただでさえ重たいものが背骨のてっぺんに乗っかってるのに、スマホを使用しているとき、頭頚部が15°傾くとその約2倍、30°で3倍と、更にすごい負荷が頚の筋肉にかかります。
しかも一日2~4時間。
恐ろしいですよね。そりゃ、頚も肩も凝りますよ。
加えて背中が丸くなると、気持ちも塞がってしまうというダブルパンチです。
筆者が述べているように、「スマホを全く使わない」というのは現実的に解決策とはなり得ないので、①スマホを使用する時の姿勢に気を付ける。②使用する時間を減らす努力をする。この2点に注意できるといいですね。
良い姿勢を取る時に意識するといいポイントなんかもあるので、またの機会にお話したいと思います。
既に頚や肩が凝ってて困ってる方は、加えてセルフケア、セルフストレッチで対処するといいですね。
それでは今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました(^_-)-☆
関節痛・腰痛・肩こり、ご相談ください
鍼灸Tadauchi
鍼灸師・理学療法士 唯内 喜史