東洋医学でいうところの気・血・津液ってなに？　Part３　津液について

今回で気・血・津液ってなに？シリーズ最終回。津液についてです。

気、血については何となく耳馴染みのある言葉ではりましたが、津液と聞くとあまり耳馴染みがないので、？？？となるかもしれませんが、簡単に言ってしまえば血を除く体液全般のことです。

津液が過不足の状態になると、乾燥肌やむくみやといった症状に繋がります。
そんな津液について勉強していきましょう。

津液の概念および作用
津液の生理代謝
- 津液の生成
- 津液の運搬と排泄
津液の変調

津液の概念および作用

津液とは、人体中の正常な体液の総称で、唾液、胃液、涙、汗などが含まれ、体中を循環し潤いを与え、体温調節などにも関与します。津液はその性質上、津と液に分けられます。津は希薄でさらさらした水分、液は濃厚でねっとりした水分になります。細かいことを問題にする場合以外は、特別区別する必要はないので、こちらでは「津液」として一括して取り扱います。

津液の生理代謝

津液の生理代謝には生成、運搬、排泄があり、運搬と排泄の過程が重要となります。

津液の生成

津液は胃で消化され小腸より脾に運ばれた水穀中の水液の精微や、大腸が糞便を形成する際に余剰となった水分を吸収し、脾によって気化されできます

津液の運搬と排泄

津液は脾によって生成され、三焦を通路とし、脾の水液運化作用・昇清作用、肺の宣発作用・粛降作用・水道通調作用、腎の気化作用によって運搬、排泄されます。
次に各臓腑の働きを解説していきます。

１．脾の作用
　運化作用　　水穀を消化して精微を得て、これを吸収し全身に運搬する働きです。とくに水液運搬機能を強調し水液運化作用と呼ばれます。水穀から有益な水液を吸収し、津液として全身に運送、散布するように働きます。

　昇清作用　　小腸で分けられた水穀の精微（清）を上焦にある心や肺に運ぶ働きです。津液を上焦にある肺まで運び、肺の宣発作用で全身散布を促進させます。

２．肺の作用
　宣発作用　　宣布、発散の意味で肺はその作用で体内の濁気、水液、水穀の精微、衛気を皮毛や気道に散布します。濁気は呼吸によって排泄、水液は皮毛を潤したり、衛気によって汗に気化され排泄されます。

　粛降作用　　自然界の清気を肺に取り込み、清潔な状態を維持させながら、清気や脾から運ばれた水穀の精微と水液を下に輸送する作用です。

　通調水道作用　　宣発作用、粛降作用を用いて、水道の流れが滞らないように調節しており、この作用を通調水道作用と呼んでいます。

３．腎の作用
　腎は「水を主る」といわれ、体内で利用され汚くなって運ばれた水液のうち再利用できる清の部分を再吸収し、不要な濁の部分を膀胱に運び、尿に気化して排泄します。

津液の変調

津液が変調すると不足や停滞がおこります。津液が不足すると便秘や肌の乾燥、毛髪のばさつき、関節が動かしにくいなどの症状が出現します。また停滞した津液を湿とよび、湿は体に有害でむくみや下痢を起こします。湿が増えて凝集すると痰になり、咳や食欲不振、吐き気、膨満感、動悸などの症状が出るとされます。

まとめ
・津液は脾で吸収生成される。
・津液は脾の水液運化作用と肺の宣発作用、粛降作用、通調水道作用によって全身に散布され、その後腎に運ばれる。
・腎に運ばれた津液は、腎の気化作用によって再吸収されたり尿として膀胱から排泄される。
・津液の不足は全身の乾燥症状を惹起し、停滞すると湿や痰といった有害なものになり、むくみや下痢、食欲不振などの症状が出る。