今回は東洋医学でいうところの気・血・津液ってなに? part2 血について纏めていきたいと思います。
血の概念および作用
血は血脈中を流れる赤色の液体であり、気や津液と同様に人体を構成し生命活動を維持する基本的物質です。
血の概念
現代医学でいう血液と似ていますが、白血球や赤血球、血小板などの区別はなく、生成や循環などの考え方にも違いがあります。気とともに生体活動を営む上で重要なものになります。
血の作用
血は営気と共に脈中を流れ全身を栄養し潤します。知覚活動や手足の動作や運動などの活動を円滑に行わせます。その他にも精神活動を支える物質的な基礎にもなっており、血が不足すると種々の精神的な症状(健忘、昏迷、不安など)が現れます。
血の生理代謝
血の生理代謝には生成、運搬、貯蔵の3段階があります。
どの活動にもいくつかの臓器が関与(五臓については別で解説)しますが、生成には脾、運搬には心、貯蔵には肝が、それぞれ中心的な働きを担っています。
血の生成
血の生成には、水穀の精微という飲食物の栄養から作られる過程と、精から化生される過程の2つの過程があります。
血は脾により水穀の精微から直接生成されるほか、営気と津液を合成し生成されます。
また、腎に蔵している精も骨を主り髄を生み、精髄は血を生み出します。逆に精が不足した場合も血が精に変化して補充します。このことから血と精の関係は「精血同源」と呼ばれます。
血の運搬
血の運搬は心の働きが中心となって経脈を通して行われますが、それ以外に肺、脾、肝が関与し全身にくまなく運ばれます。
心には推動作用があり、ポンプのように全身に血を推し出します。その過程で、全ての血脈は一度肺に集まり、宣発作用を受けてさらに推動されます。肝は経脈中の血が滞りなく循行させる疏泄作用という働きで血の流れをスムースにします。
その他、脾には統血作用という血を統摂する働きがあり、血が必要以上に脈中から漏れ出ないようにしています。
血の貯蔵
肝の蔵血作用により、人体中には不慮の事故などで血液が失われても補充できるように、血を貯めておく機能が存在します。また、肝は血の貯蔵を主っているだけでなく、全身の血液量の調節も行なっています。肝のストックしている血は、目や筋腱、爪、子宮などの栄養に特別に関与しているため、ストックしている血が不足すると、これらの部位に症状が現れやすくなります。
血の変調
血の変調には血虚、血熱、血寒、血瘀があります。血虚は血が不足している状態で、食べる量が十分でなかったり、偏食が過ぎたり、脾と胃に問題があって消化、吸収が不十分なとき血虚になります。体内に熱がこもり、熱が血にうつると血熱になり、血行が以上に早くなり鼻地や喀血など出血しやすくなります。逆に血が冷やされた場合を血寒といい、手足の冷えに繋がります。血熱は血が粘り、血寒は血が凝集し、どちらにしても血の流れが悪くなるため、血が一カ所で停滞してしまう血滞という状態になります。停滞し汚くなった血を瘀血とよび、瘀血があると血瘀という病気になります。血瘀になると刺痛という刺すような痛みや、触られるのも嫌な状態である拒按という症状が出現します。
まとめ
・血の生成には脾、心、肝、腎が関与し、水穀の精微から生成されたり、腎精から化生されたりする。
・血の運行には心が中心的な役割を担い、その他にも肺、肝、脾の作用がにより補佐されている。
・血の貯蔵には肝が主に関わり、循環量も調節している。
・血の変調では血虚、血熱、血寒、血瘀という状態になる。
文献
教科書執筆小委員会:東洋医学概論.医道の日本社
関口 善太:やさしい中医学.東洋学術出版社
兵頭 明 監:カラー版徹底図解 東洋医学のしくみ
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鍼灸Tadauchi
鍼灸師・理学療法士 唯内 喜史