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2021.09.02

陰陽のはなし  ― 無限の変化、陰陽 ―

陰陽

こんにちは。春日井市の隠れ家的鍼灸院、鍼灸Tadauchiの唯内です。

今回のテーマは陰陽についてです。
陰陽と聞くと安倍晴明の陰陽師が頭に浮かぶ人も多いのではないでしょうか。
陰陽五行論を用いて占いや術、結界などの霊的なものを取り扱う役職(かなりざっくりした説明です💦)で、今でいえば国家公務員だそうです。
陰陽師
話が逸れましたが、陰陽師が用いていたという陰陽論について、皆さん少し興味ないですか?

今回は陰陽論について解説していきます。
陰陽は易とも関わってきますが、ここでは易については触れずに話を進めます。

陰陽論の起源

実は、現在のところ陰陽の起源を明確に示した文献等はなく、おそらく紀元前6世紀頃には陰陽の概念的なものは存在していただろう、とのことです。その頃は「自然の一部を担うもの」程度の存在で、万物の変化や生成に関わる、というほどの存在ではなかったみたいです。

陰陽は対立し制約する

陰陽論では、あらゆる事象、物事を相互に対立し制約しあう二つの側面から捉えます。例えば、上下、左右、前後、天地、動静、昇降、明暗、昼夜・・・と、挙げ始めると枚挙にいとまがありません。つまり陰陽とは対立的であり、同時に統一的な関係といえます。対立とは二者間の相反する一面で、統一とは二者間で制約し合いながら、同時に補完し合う関係の事を言います。人が正常に生命活動を行えるのは、が相互に制約・消長し生み出された統一(動態平衡)の結果であるといえます。

陰陽は変化する

陰陽は「変化するもの」としても捉えられます。はいつまでもであるのではなく、もいつまでもではありません。男性は女性に対してはですが、子として親に対すると男性でもとなります。前後関係も前がで後ろがですが、前の前に対したら前はになります(ちょっと紛らわしいかな)。

陰陽の消長平衡

消長平衡とは陰陽のバランスが固定されたものではなく、「陰消陽長」や「陽消陰長」の中で相対的にバランスを維持していることを言います。自然界、社会、人間の体など、陰陽という二つの概念、要素の変化、推移により、休まず発生と発展が営まれています。

四季の変化でいえば、冬から春、春から夏と季節が移るにつれ、気候も寒冷から暑熱に変化し、これは「陰消陽長」の過程と言えます。夏から秋、秋から冬へと季節が変わると、気候は暑熱から寒冷へと移っていき、これは「陽消陰長」の過程です。これらの変化も一年を通してみると陰陽のバランスがとられています。

陰陽の相互転化

陰陽の変化は消長によるものだけではなく、条件によっては正反対の方向に転化することがあります。転化となり、転化するとになります。これらのように陰陽の転化は物事が極まったとき、「物極まれば必ず反す」のであり、陰陽転化は量的な変化の結果による質的な変化と言えます。季節の変化や昼夜の交替も陰陽の転化と言え、人の体でも興奮と抑制の相互転化はその一例です。
陰陽の消長と転化
*図は薬読ウェブサイトより引用

漢方での陰陽の運用

人体の部位、組織構造、機能活動状態などについて以下のように陰陽の割付がなされます。

  上部・体表・背側・六腑・気・背側、四肢外側の経絡・興奮・亢進・表・熱・実
  下部・体内・腹側・五臓・血・腹側、四肢内側の経絡・抑制・衰退・裏・寒・虚

先述した通り、体表か体内かで見たときは体表が、体内がですが、体表でも腹側は、背側はというように、陰陽は「変化するもの」という考えは変わりません。

人体が正常に陰陽のバランスを保っているときが健康な状態であり、ある種の原因によって陰陽が協調を失ったときに疾病が発生すると考えられます。
陰陽の失調状態とは陰陽偏盛、偏衰であるといえ、その治療原則は陰陽のバランスを調整する事、すなわち不足をい(増やし)、有余をし(減らし)、陰陽のバランスを回復させることになります。

臨床にあたっては、原因は体表なのか体内なのか、臓の問題か腑の問題か、熱なのか寒なのかなど、ある段階でのどちらが主要な問題なのかを明確にし、それに合った治療を行うことが重要になります。

いかがでしたでしょうか。
陰陽の概念は自然界、社会、人体など万物の事象に関わり、その全てが陰陽のバランスで成り立っています。自然界の陰陽のバランスを受け入れながら、自身も動的、静的に陰陽のバランスを保ち、大きな乱れを作らないような日常生活を心掛けることが重要だと思います。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

関節痛・腰痛・肩こり、ご相談ください
鍼灸Tadauchi
鍼灸師・理学療法士   唯内 喜史

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