こんにちは。
春日井市の隠れ家的鍼灸院、鍼灸Tadauchiの唯内です。
先日、クライアントさんにニキビのお悩みを相談されました。
「ニキビは鍼灸でも治療できるんですか?」
もちろんです。
原因を根本から追及して症状を改善していく、そこご東洋医学の強みです。
ということで、今回のテーマは肌トラブル、その中でもニキビについてのお話しをしていきたいと思います。
とりい皮膚科クリニックさんのウエブサイト「年代別肌のお悩みランキング」では、ニキビの悩みは10代で1位、20代で1位、30代で7位となっており、10代から20代の多くが悩んでいる肌トラブルといえます。しかし30代、40代でもニキビあとや毛穴、といった悩みがランクインしており、10代、20代でのニキビケアの重要性を現していると思います。
そのニキビに対する対処法は様々あると思いますが、今回は東洋医学的なニキビの考え方と対処法について解説します。
ニキビとは?
ニキビは医学的に「尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)」と呼ばれ、皮膚の慢性炎症性疾患に位置付けられています。多くの人が経験し、特に思春期にできることが多いため、成長過程の一つという捉え方をされがちですが、炎症がひどいと痕が残ることもあり、患者にとっては身体的にも精神的にも大きな苦痛となるため、早めに適切な対応をすることが重要です。思春期に皮脂分泌が過剰なため起こるものと、20代かる起こる大人ニキビ「思春期後痤瘡」とがあります。
ニキビの種類
ニキビはその原因、年齢や症状によってそれぞれ分類することができます。
ニキビのできる原因・年齢
思春期のニキビと大人ニキビでは、それぞれに特徴があります。
思春期ニキビ 皮脂分泌が過剰なため起こるニキビで、特徴としては、10代後半に多く見られ、男性ホルモンの分泌増加が関係しているといわれています。
大人ニキビ 過剰な皮脂分泌だけで起こるのではなく、生活環境の乱れやストレスなど、様々な原因が複雑に絡み合って起こるとされています。
症状による分類と経過
*大塚製薬ウエブサイトより引用
面皰 毛穴周囲の角質が肥厚し、毛穴の出口で角化異常が起こり皮脂が詰まった状態の物。白ニキビ(毛穴の出口がふさがり内部で皮脂が固まったもの)と黒ニキビ(毛穴の出口が少し開いており、皮脂や異物が酸化し黒くなった状態の物)がある。
丘疹 毛穴の中でアクネ菌が増殖し、様々な炎症物質を産生します。そのため赤く腫れあがり赤ニキビと言われる状態になります。
膿疱 炎症が進み、真皮の中で黄色い膿がたまり黄ニキビと呼ばれる状態。
瘢痕 炎症が治まったあとに、ニキビの痕が残った状態。
ニキビができる原因と対策
不規則、不摂生な生活、栄養の偏った食事
不規則な生活はなるべく避けて、できるだけ決まった時間に栄養のあるものをバランスよく食べましょう。
寝不足
肌のゴールデンタイムは午後10時から午前2時と言われ、この時間の肌の新陳代謝は成長ホルモンの作用で促進されています。最低でも12時には就寝しましょう。
紫外線
紫外線は、活性酸素を発生させる一因で、活性酸素は皮脂を酸化させ過酸化脂質を作り出し、これがニキビの原因になります。紫外線対策を怠らないようにしましょう。
皮脂分泌の増加
必要以上の洗顔は、肌を乾燥させる原因となり返って肌を荒らしてしまいます。また過剰に皮脂の分泌を抑えるような化粧品の使用も返って逆効果となることがあるため注意しましょう。
肌への刺激
髪の毛などが肌を刺激することでニキビを悪化させることがあります。またシャンプーやトリートメントの洗い残しがニキビの原因となり得るので、十分なすすぎを行いましょう。また肌を清潔に保つように心がけましょう。
ホルモンバランスの乱れ、遺伝的要因など
ホルモンバランスの乱れは先述した、不規則・不摂生な生活や寝不足などでも起こりますが、婦人科疾患が原因であったり、遺伝的要因の場合もあるため専門家へ相談しましょう。
東洋医学におけるニキビの捉え方と治療
東洋医学ではニキビを「粉刺」や「酒刺」とも呼び、臓腑の熱や血の問題が原因と考えることが多いです。
主なニキビの症状から考えられる中医学的な弁証(現代医学の診断のようなもの)の一部を紹介します。
血熱証
熱邪が血に作用して発症する場合と、ストレスや刺激物の過食によって臓腑を損傷し、臓腑に熱が発生する場合があり、ニキビは後者であることがほとんどです。赤ニキビと黒ニキビが混在しますが、血熱によって血脈が損傷すると肌には赤みを帯びた炎症性の赤ニキビが現れやすくなります。血熱の状態が強いとニキビの大きさも大きくなり、痛みも伴います。その他の症状として、夜間の発熱、出血傾向、あまり水は欲しない口内の乾燥などがあります。
治療法としては、鍼にて清熱(熱を取る)、血に作用するツボを選択し治療します。
ツボ 曲池、合谷、肝兪、膈兪、血海、足三里、三陰交
風熱犯肺証
風熱の邪が人体に入り、五臓のうちの肺を傷つけることによって肺の機能を失調させる病証です。肺の機能が失調すると肌が荒れたり、ニキビ(赤ニキビ)ができやすくなります。また風邪により気の固摂作用が失調すると毛穴が開き、皮脂分泌と発汗が多くなり、肌トラブルが起こりやすくなります。その他の症状として、咳嗽、発熱、粘稠性のある黄色い痰、鼻づまりなどがあります。
治療法としては、鍼にて肺経、大腸経のツボを選択し治療します。
ツボ 尺沢、曲池、合谷、肺兪、太淵、大椎、少商
脾胃湿熱証
湿熱の邪が人体に入る、もしくは甘いものやお酒の過食によって湿熱の邪が脾胃にこもることによって起こる病証です。口の周りにニキビができやすいのが特徴です。膿をもったニキビができやすく、むくんだり、肌がベタベタします。その他の症状として、顔色が黄色い、頭重感、口が粘る、食欲不振、下痢、むくみなどがあります。
治療法としては鍼にて脾経、胃経のツボを選択し治療します。
ツボ 脾兪、胃兪、内関、中脘、大椎、曲池、合谷、足三里、三陰交、内庭
ニキビは、食養生も大切
前述したとおり、ニキビは食生活がその発生原因となり、ニキビの症状は体の内面から来ていることも多いです。便秘傾向の方は便秘が改善すると、ニキビも改善する事が多いですよね。
避けたほうが良い食べ物
油っこい食べ物、カロリーの高いもの、チョコレート、ケーキ、コーヒー、ココア
積極的に取りたい食べ物
熱を取る作用のある食べ物、すいか、きゅうり、トマト、なし、などがオススメ。
*お茶 体内にこもった熱を発散させてくれる 菊花茶・ドクダミ茶
水分の停滞が原因の湿熱タイプの場合は、紫蘇茶もオススメ。
意外と、生活習慣や食生活を見直すだけでもニキビが改善されることがあるので、まずは出来るところから意識して改善していくといいと思います。
もちろんすべてを自分で解決しようとするのではなく、困ったときには早めに専門家に相談してください。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
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鍼灸Tadauchi
鍼灸師・理学療法士 唯内 喜史